シラシとサワリの発信

いろいろな理由から現世に対する未練を断ち切れず、成仏できないまま幽界にとどまっている霊は、この世にあらわれて生者に「シラシ」(知らせ)としてのサワリ(障害)をひきおこすというのがユタ世界の考え方である。
従って、シラシは成仏できない死者の霊が発信源となっており、そのシラシを生者に気づかせるためにサワリをひきおこすとされている。シラシとサワリは連動していることになる。

シラシとしてのサワリは種々の形となってあらわれてくる。
原因不明の心身の不調、たび重なる身内の病気、事故や災難などはユタ世界では成仏できない死者の霊からのシラシとしてのサワリだと解釈される。また、カミダーリ状態に入った者に幻覚や夢の中にあらわれて、さまざまなことを要求するのも同様に死者の霊によるシラシとサワリだと受け止められる。
このように、生者にシラシとしてのサワリをひきおこす死者の霊との接触、あるいは直に交流し、その要求をきき取ることができる唯一の存在がユタであり、ユタグトゥの本質を成すものだと考えられている。

ユタは、自分専用のチヂガミの力を巧みに利用しながら、霊感を働かせ、シラシの意味を解き明かし、サワリの原因をさぐり当ててみせる。そのうえでサワリをはずす(障害を取り除く)もっとも有効な方法手段を依頼者に示していく(ハンジを出すこと)わけだ。

〔次回 2月20日|ウグヮンブスクと成仏〕

参考書籍:

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