南部地域には、石やセメントで造られた小さな祠を「屋敷神」として安置しているところが多く見られる。特に糸満市、旧玉城村、旧大里村ではことさら珍しいことではないようだ。
これは余談だが、セメント造りの屋敷神を訪問販売する業者も多いようで、小生が調査のために尋ねた家でも、業者と勘違いされて警戒されたことも度々あった。 このような屋敷神の祀られている場所を「ヤシチヌフンシ」とか「ヤーヌフンシ」などと一般的に呼称されているが、「ヂーチヌカミガナシ」とよんでいる家もあった。
屋敷神の祠を安置しているのは、通常は屋敷の東側、南向きの門構えでは右手の方角だが、近くに御嶽や拝所などがある場合は、それに近い位置を選ぶようだ。
屋敷の御願は年2回(旧暦の2月と8月)を定例としている地域がもっとも多いが、糸満市の一部では年5回(旧暦の2月・3月・6月・8月・12月)おこなっている家も見られた。
拝む場所や順序は他地域との差異はほとんどないが、屋敷神を安置している家では、屋敷神の御願も必ずおこなわれているが、毎月のチィタチ・ジュウグニチにもウチャトゥをたてて拝みをしているという。
〔次回 7月9日|各地の屋敷の御願 その2〕
各地の屋敷の御願 その1
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