ヒヌカン(火の神)のおこり

私たちの祖先、古代の沖縄人は毎朝東の空から姿をあらわす朝明けの太陽は、東の「ティダガアナ」(太陽の穴)を出て、太陽の道を通って昇ってくると考えた。

太陽が出てくる「ティダガアナ」こそが、神々の存するところであり、古代沖縄人が憧憬した理想郷「ニライカナイ」の存在する場所であり、霊力のみなぎるところだと信じた。そして、命をはぐくむ火や日々の糧である五穀も「ティダガアナ」からもたらされる大いなる恵みだとして、深い祈りをささげた。
生命の源である「ティダガアナ」から昇りくる太陽もまた、霊力にみたされた神聖なものとして崇めるようになる。

やがて、目の前で赤々と燃えさかる地上の火にも太陽と同じように、えもいわれぬ神秘の力、神霊が宿ると考えるようになる。燃えさかる火を太陽の化身だとみなし、その中に大いなる霊力を感じ、神が宿るものとして信仰の対象にしていくようになるのは自然の成り行きでもあった。
そして、定住生活が確立され、神の宿る火が常に燃やされ、日々の食べ物を煮炊きするカマドもまた、神います神聖な場所として人びとが祈りをささげる場所となっていった。

神います神聖な場所となったカマドの象徴として三つ石を△形に並べて神の依り代(神のよりつくもの)とした。やがて、三つ石が姿を消し、現在見られるウコールへと変わっていったのである。

沖縄のヒヌカンは、もとをただせば古代沖縄人の太陽神に対する深い信仰であり、それがやがて地上の火に対する信仰へと発展し、その火が常に燃やされるカマドを崇拝する信仰へと展開されていったと考えられる。そして現在、そのカマドの象徴としてウコールが安置されているわけだ。

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 絵でみる 御願365日

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