ヒヌカンの御願日

旧暦の毎月の1日と15日(チィタチ・ジュウグニチ)は定期の御願日である。その日は、主婦はウチャトゥ(お茶湯)をたてて、ウブクとよばれる碗に盛ったご飯をそなえて家族の健康と家庭の円満を祈願する。チィタチ・ジュウグニチは新月と満月という意味もあることから、旧暦でなければならない。

旧暦の12月24日はヒヌカンが上天(昇天)する日とされ、1月1日〜4日は上天したヒヌカンが下天する日だとされている。それぞれに「上天の拝み」と「下天の拝み」とよばれる特別の御願がおこなわれる。そのほかに、屋敷の御願、年中行事、人生儀礼の際にもヒヌカンへの御願がおこなわれる。

これらの定期の御願日でなくても、毎朝、ヒヌカンを拝まないとチムワサワサ(胸さわぎして落ち着かない)するという主婦が今だに少なからずいる。また、少しでも気がかりなことがあればヒヌカンに手を合わす人も多い。
これは、神の前にぬかずいて祈る人や仏さまの前で手を合わせる人の心理と相通ずるものがあるといえるだろう。
それだから、家族にうれしい事があったとき、祝い事があったとき、悲しい事困った事があったとき、とにもかくにも沖縄の主婦は、ヒヌカンやトートーメーの前で手をすり合わせて祈るのである。いわば、一年365日すべてがヒヌカンへの御願日ともいえるのである。

ただ悲しいことに、若い人の間ではヒヌカンへの関心が薄れ、ヒヌカンの前で祈りをささげる機会はほとんどない。沖縄の信仰生活の中心がヒヌカンからトートーメーへと移ってきたことが一つの原因となっているのだろう。

参考書籍:家庭でつくる 沖縄行事料理とふるまい料理 絵でみる 御願365日

カテゴリー: ヒヌカン | タグ: , , , |

スポンサーリンク