第12回目 沖縄の伝統的な吉方位と凶方位

かつての中山王宮であった浦添グスクから見て「辰(たつ)の方位」の洋上に、聖地とされる「久高島」がある。
そして、同じ「巳(み)の方位」には、これまた聖地とされる「与那古(ヨナグ)浜」がある。
両聖地ともにかつての王権祭祀の祭場として知られ、現在の沖縄人にとってもなじみ深いところである。

私たちの祖先は、この二つの聖地のある「辰巳(たつみ)の方位」をニライ・カナイの神いますところとして「吉方位」と考え、それとは反対の「戌亥(いぬい)の方位」を「凶方位」としたのである。
人びとに豊穣をもたらしてくれるニライ・カナイの神います方位を「吉方位」と考えたのはしごく当然のことであろう。また、死者の霊魂の帰りゆくところはその反対の方角であるとして「凶方位」としたのも、これまた当然のことだったといえる。

ふつう、家や墓をつくるときの方位は、大工を通してサンジンソウ(三世相)やフンシーミー(風水見)に頼んで決めていた。
依頼を受けた彼らは、古くから伝わる沖縄の人びとの方位に対する吉凶判断に易や風水などの考え方を取り入れて、方位を決定していた。

〔次回 12月5日|第13回 家の向き〕

参考書籍:

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