トートーメー問題の発生 その2

言うまでもないことだが、位牌祭祀がなければ、位牌にまつわる習俗もタブーも生まれようがない。 沖縄人がしばしば口にする「トートーメー問題は昔から」というのも、当然、位牌祭祀が受容されてから以降ということになり、それほど歴史の古い話ではない。民俗としては新しい部類に入るのだろう。 廃藩置県(1879年)の前の王府の役人(官人層)の間でも、財産を相続しトートーメーを継ぐのは特別の事情がない限り嫡男であったようだ。これだけを見ると現代の沖縄とそう大きく変わるものではない。 ところが、跡を継ぐ男子がいない … 続きを読む

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トートーメー問題の発生 その1

中国を起源とする位牌祭祀(位牌を通して祖先を祀る)が沖縄に伝わったのは二つのルートがあるとされている。 その一つが、14世紀末頃に福建(中国)からクニンダ(久米村)を通して伝わったルート。もう一つが15世紀中頃、本土の臨済宗を通して王家を中心に官人層に伝わったルート。 この二つのルートのうち、農村地域までひろまったのは本土の臨済宗ルートだといわれている。つまり、王家を中心とした官人宗が先に受容し、それが農村地域までひろまったというわけだ。それが今日までつづいている。15仏事で知られる仏式の位牌祭 … 続きを読む

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ユタとトートーメー

死者の魂を位牌によって祀るという位牌祭祀が沖縄社会に受容されて以来、それまでの信仰生活の中核を成していた「ヒヌカン信仰」を圧倒し、トートーメー信仰が信仰生活はもとより年中行事においても最重要な位置を占めるようになった。 一般的にトートーメーとも呼称される「位牌」(イーフェー)は、家の宝物とされ、今次大戦中でも命をかけて守り通したという人も少なくない。 こうした考え方は今も変わらず、不幸にも火事などで家が焼け落ちても、トートーメーさえ無事に持ち出せば、必ず家の再建ができると信じられている。 亡くな … 続きを読む

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フスクの解消とチヂウリの回復

ウグヮンのフスク(不足)を補い、不幸なチヂウリを回復させられるのは、ユタの司祭するウグヮンだけだと考えるのは、ユタを取り巻く社会では当り前のことだとされている。 ルール通りに継承されていないトートーメーを、そのまま放置しておいて、いくら祖先供養の祭祀を営んでも、祖霊の怒りはおさまらず、供養は受け入れてもらえないというのである。 本来、祖霊として祀るべきでない死者の霊を祀り、継ぐべきでない者が継承したトートーメーは、それを正して(シジタダシ)はじめて、供養を受け入れ、慰められると信じられているとい … 続きを読む

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ユタのハンジ その2

これまで考えたこともない遠い祖先のグソーでの暮らしぶりが、真実味をおびてユタの口から語られると、漠然としていた祖先にかかわる不都合が現実味をおびてくる。 ユタの思うツボってところだ。まんまとユタの術中にはまることになる。そのことは当事者のみならず、席を同じくしている他の依頼者にも同じ効果があるようだ。 半信半疑であったグソーの世界の存在が、目の前の現実の世界と同じように確かなものだと思えてくる。 もちろん、グソーの世界の存在を完全に否定するのであれば、祖先供養も意味を失ってしまうし、死者を弔う際 … 続きを読む

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ユタのハンジ その1

「ハンジ」とは、判示と表記し、問題点を明らかにし、解決方法を提示することをいう。ユタ買いすることを「ハンジを取りに行く」などと表現する。 依頼者がまわりを取り囲む中で、ユタが祭だんの前にぬかずき、チヂガミに祈ることからハンジが開始される。 もちろん、ハンジを出す前にユタは、依頼者の家族構成を確認し、祖先の系譜を一つ一つときほぐしてたどる作業をおこなう。とは言っても、依頼者の多くはユタにリードされるままに確認していくだけである。 これらの作業もほかの依頼者の見守るなかですすめられるので、個々のプラ … 続きを読む

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ウグヮンとユタ

ウヤファーフジ(祖先・祖霊)への供養を忘れたり、怠ったり、あるいは誤ったりすると祖霊の怒りをかい、クヮッウマガ(子孫)によくないことが起こる。供養を手厚くするか否か、誤りなく執り行うか否かは、残された子孫の幸・不幸に直接的にかかわる。 こうした考え方は、ユタ社会のみならず、沖縄社会全体に幅広く受け入れられている観念である。 それだから、主婦にとって祖先供養をとどこおりなく執り行うことは、何よりも重要なことだとされている。裏を返せば主婦にとっても常に頭を悩ます問題ともいえる。その原因の一つとなって … 続きを読む

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ウグヮンブスクと成仏

浮かばれない霊を慰め、悟りを開かせ、成仏できるようにする最善の方法が「ウグヮン」(御願)だとするのがユタ社会における基本的な考え方である。 成仏できないもっとも大きな原因が、死者の霊に対する慰めや供養が十分にできていない、あるいは行き届かないために起こる「ウグヮンブスク」だというのである。 慰めや供養が十分にできていないということは容易に理解できよう。チィタチ・ジュウグニチにウチャトゥの一杯もあげない、節々の行事に線香の一本もあげないようでは慰めにも供養にもならないだろう。よく分からないのが慰め … 続きを読む

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シラシとサワリの発信

いろいろな理由から現世に対する未練を断ち切れず、成仏できないまま幽界にとどまっている霊は、この世にあらわれて生者に「シラシ」(知らせ)としてのサワリ(障害)をひきおこすというのがユタ世界の考え方である。 従って、シラシは成仏できない死者の霊が発信源となっており、そのシラシを生者に気づかせるためにサワリをひきおこすとされている。シラシとサワリは連動していることになる。 シラシとしてのサワリは種々の形となってあらわれてくる。 原因不明の心身の不調、たび重なる身内の病気、事故や災難などはユタ世界では成 … 続きを読む

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ユタの描くグソー(死後の世界)

亡くなった人の霊魂が最初に行きつくところとされているのが幽界である。 人の魂は亡くなった後、幽界でめざめるとされているが、死後3日間しかとどまらない霊もあれば、眠りつづけている霊もあり、ただよいさまよっている霊もあるという。 このように、幽界にはさまざまな霊が集まっており、いろいろな理由からいまだ成仏できない霊の集合体ともいえよう。それだからこそ、死者を弔うときも「成仏してください」と手を合わせる。 成仏とは、仏教用語で悟りを開いて仏陀になるということだが、死んでこの世に未練を残さず、仏になるこ … 続きを読む

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