トートーメー問題の発生 その1

中国を起源とする位牌祭祀(位牌を通して祖先を祀る)が沖縄に伝わったのは二つのルートがあるとされている。
その一つが、14世紀末頃に福建(中国)からクニンダ(久米村)を通して伝わったルート。もう一つが15世紀中頃、本土の臨済宗を通して王家を中心に官人層に伝わったルート。
この二つのルートのうち、農村地域までひろまったのは本土の臨済宗ルートだといわれている。つまり、王家を中心とした官人宗が先に受容し、それが農村地域までひろまったというわけだ。それが今日までつづいている。15仏事で知られる仏式の位牌祭祀である。
15仏事とは、ナンカスーコー、百ヵ日供養、そしてニンチウーコーを合わせた15回の仏事のこと。

さりながら、王家官人層に伝わった位牌祭祀が、時を置かずして農村地域までいっきにひろまったわけではない。むしろ、時間をかけてじょじょにいきわたったと言うべきであろう。 それだから、同じ農村地域とはいえ、位牌祭祀受容時期にはかなりの差が見られるのだろう。

明治期には農村地域においても位牌祭祀はかなり浸透していたようだが、国頭あたりでは大正期に入ってやっと位牌を売り歩く行商人の勧めではじめて位牌を仕立てたという話もある。また神の島とも称される久高島で大正の終わり頃になって位牌を祀る家がポツポツと出てきたという。
さらには位牌祭祀を受容したのは昭和になってからだという地域もあるようだ。

〔次回 4月9日|トートーメー問題の発生 その2〕

参考書籍:

カテゴリー: ユタグトゥ(ユタ稼業) |

スポンサーリンク