一年以内に死者がつづいた場合の葬式

一年以内に同じ家から死者がつづいて出た場は、通常とは異なる葬法がとられるのが一般的であった。 二度目の葬式のときは、三度目の模擬葬式を行う。模擬葬式は地域によって若干の相異は見られるが、「小鳥(鶏でも)を殺して小さな箱に納める」、「人形を納める」、「卵を納める」地域に大別できる。 二度あることは三度あるのたとえ通り、葬式が三回重なることへの恐れから、形の上で三回葬式を済ませたことにして、難を逃れようとしたのである。 〔次回 10月13日|ミートゥンダーカーミヌチビティーチ〕

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イナグヌハカメー

初七日から七・七日まで(ナンカスーコー)のうち、「イナグヌハカメー」と称して女性だけの墓参りをする地域(那覇・浦添)があった。 イナグヌハカメーは1回のみとする地域と2回おこなう地域に分かれていたようだ。今次対戦の前までこうした古い習俗は残っていたようだが、現在はほとんど見られなくなった。いわば失われた習俗の一つといえよう。 それとは逆に現在でも古い習俗が生きているのが墓口を開ける際は「ソー」(死者の干支にあわせること)の合う人に限るという習わしである。ソーの合一性は地域によって異なるので、死者 … 続きを読む

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死者との別れ遊び

戦前まで多くの地域で死者との「別れ遊び」という風習が残っていた。特に若い者が亡くなった場合、仲間たちが死者を慰めるために墓まで出向いて死者とともに遊んだ。 日が暮れるのを待って集まり酒を酌み交わし、三線を弾き鳴らして歌をうたう。生前、遊び好きだった者の場合は、墓内から棺桶を出して遊びの仲間に加えたという。そのため、納棺を済ませても、その間は墓口の目塗りはしなかったという。 現世での生者と死者の最後の交流ということになるのだろうが、火葬が一般的になった以降、こうした風習もすっかり影をひそめてしまっ … 続きを読む

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シマミシー

かつては各地に見られた葬列儀礼の一つ。墓に行く途中に、亡くなった者をシマ(むら)と離別させる儀礼のことで「シマミセ」ともいう。 集落によって「シマミシー」をする場所は決まっていて、遺体を運ぶガンがそこに到着すると、ガンを集落(シマ)の方向にむけてながめさせる。別れの酒をそなえて儀礼は行われる。また、墓まで葬列に加われない人たちは、そこで死者と最後の別れをするところだともいう。 シマミシーをするところは「シマミシーアジマー」ともよばれ、現世と来世とを分けるところだとする観念もあるという。 同じよう … 続きを読む

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野辺送り

遺骸を埋葬所あるいは火葬場に送ることを「野辺送り」という。 野辺送りは引き潮に合わせて行うのがしきたりとなっていた。人が死ぬということは潮が引いていくようにあの世へ行くものだとする考え方から出たものだとされている。都合によって引き潮に合わないときは、引き潮を待って野辺送りをしたものである。 葬列は神道を通ることは許されなかった。神道は拝所や御嶽に通ずる道であり、祭りのときに神さまの通る道だと考えられていた。このような神道とは逆に、「グソー道」と呼ばれている葬送の道があった。 葬送の道をたどること … 続きを読む

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死の確認

現代では、人の死の確認は、自然死の場合、医師の死亡診断書によって確認される。ところが沖縄ではつい最近(戦後の一時期)まで人の死を確認するのに伝統的な方法がとられることもあった。 そのもっとも象徴的なものが「脈のとり方」である。 死に際になると脈拍がどんどん腕の方にあがっていき、その後弱くなっていくといよいよ臨終とみなされていた。そのほかに、大きなため息をつくとか、涙を落とすとダメだとみなされていた。 もちろん、こうした場合は死亡時刻についても何時何分という分単位まで決められるわけではない。 たい … 続きを読む

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クヮンチェーバク

龕(がん)はともかくとして、クヮンチェーバクはほとんどの地域から姿を消した。龕は遺体を納めたクヮンチェーバクを墓まで運ぶ朱塗りのこしのことである。 地域によっては文化財的な意味から龕の納められている龕屋を保存しているのが見られる。 クヮンチェーバクは、上記したように遺体を入れて葬るための容れ物のこと。遺体は膝を立てた寝姿で棺箱に納め、墓室に安置する。従って棺桶ではなく棺箱というのが正しいだろう。いずれも火葬が普及する前の話である。 クヮンチェーバクの大きさは、長さが3尺6寸4分(約110cm)、 … 続きを読む

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スーコーのしきたり その2 グソーのナーギムン

ナーギムンとは土産のことである。黄泉の国へ旅立つ者への土産というのもなかなか理解し難い面もあるのだが、沖縄人の死生観がよくあらわれていると考える。 死後の社会が現世の社会と基本的には何も変わらないとする考え方があるということだ。つまりは、死後の世界も現世と同じような日常生活が営まれていると考えるのが沖縄人の死生観の一つということだ。 それだから、死者の遺族はもちろんのこと、隣人もそれぞれの祖先へのナーギムンとして死者に託するという風習が戦後の一時期まで残っていた。 クヮンチェーエバク(棺箱)には … 続きを読む

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スーコーのしきたり その1 グソージン

死装束のことを一般的には「グソージン」というが、「トゥビイショウ」あるいは「カンバニギン」、「シルイチョウ」と呼称する地域もある。 グソージンは白い色がほとんどで、奇数枚(3、5、7)でなければならないとする考え方があり、5枚、7枚というのが一番多かったとされている。 また、襟元にさす縫い針に通す糸も黒い糸と白い糸を使い分ける地域もあった。縫い針をさすのは、あの世で針と水を交歓するためだとされている。 死後の世界は現世とは基本的には何ら変わらないとする考え方があるが、イチミ(現世)とグソー(来世 … 続きを読む

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タナバタ

沖縄で「タナバタ」といえば、お墓回りをきれいに掃除し、祖先に盆の案内をかける祖先祭祀の行事である。従って、本土の「七夕行事」との関連性はほとんどない。 まずは「ヒジャイガミ」(墓面にむかって右側にいるとされる守護神)に線香と酒をそなえ、墓の守護に対する感謝をささげ、お墓回りの掃除をおこなう旨を告げる。ついで墓面を拝み、盆が近づいたことを先祖に報告し、家にいらっしゃってくださるよう案内をかける。 それだから、タナバタ(旧暦の7月7日)の日には、全島各地で墓回りを掃除し、お参りする人の姿が見られるわ … 続きを読む

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