タグ別アーカイブ: シラシ
シジタダシは何のためにするのか?
シジタダシの最大の眼目は「子孫の御願がよく通り、祖先の霊が慰められ、供養が十分に受けられるよう」にするためである。 シジタダシをすることによって、祖先を祀った位牌がきちんと(正しく)整理され、御願が通り、「フスク」が解消されて、災厄が取り除かれるとされている。 ここでいう「フスク」とは、位牌が未整理のために御願が通らず霊が供養を受けられずに、御願不足の状態になることを意味する。 こうした「フスク」の状態にある祖先の霊は、そのことを知らせる(気づかせる)ために災厄をもたらすというわけだ。 このよう … 続きを読む
シジタダシ その7
沖縄には死者の霊は、生きている人の運命を左右する力があるとする観念がある。それだから、死者の霊を慰め、供養することを何よりもたいせつにする。 ところが誤って継承されたトートーメーをそのままにしておいて、いくら熱心に御願しても、いくら豪華な供物をそなえても、それは「とおらない御願」になってしまい、祖先にはとどかないと考えられている。したがって、祖先は常に「ウグヮンブスク」の状態にあるということになる。 子孫が病気になったり、家が繁昌しなかったり、商売がうまくいかないのも、ウグヮンブスクの状態にある … 続きを読む
ユタになるための修行 その1
カミダーリ状態に入ったことを確認し、心身の不調をカミや祖先の霊からの知らせ(シラシ)や催促(セーズク)だと認知すると、カミグトゥによってしか回復の見込みがないことを悟る。カミグトゥはほとんどの場合、ユタのハンジに従って実施される。そのためのユタ通いが始まり、複数のユタの判断をあおぐことになる。複数のユタの判断を照合することをクチアワセと称している。 クチアワセのためにとった複数のハンジ(判断)を手がかりにして、カミや祖霊からの知らせや催促がいかようなものなのかを確認していく。それと同時に、自分の … 続きを読む
参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり
チヂガミの正体 その1
白髪で長いあごひげの老人像は、チヂガミの典型として描かれることが多いが、実際は白装束を身にまとった男女、かんざしを挿した老婦人、身分の高い貴人などさまざまな人物がチヂガミとなっているようだ。また竜宮神、観世音菩薩、十二支の神など霊能者がカミと総称する神仏もチヂガミとなる場合があるという。 チヂガミは霊能者の守護霊(守護神)として夢の中や幻覚としてあらわれるとされている。カミダーリの状態に入った者の夢の中にあらわれ「シラシ」を行ったり、一緒に天に昇ったり、外国を訪ねたりするという幻覚を体験するとい … 続きを読む
参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり
サーダカンマリの特徴
サーダカンマリの人は、生来的に虚弱体質であり、予言めいたことを口にし、幻覚や幻視に悩まされ、理解不能な不思議な体験をするものだと周りの者から認められるようだ。 このような異能は、カミによって選ばれた者のみに与えられるもので、その異能ゆえにカミや祖霊と生きている者の仲立ちをすることが可能になるとされている。 カミや祖霊は、サーダカンマリの者を見抜き、ウグヮングトゥ(拝みごと)を「シラシ」(知らせ)として伝えたり、マジムン(魔もの)を見せたり、自然界にないものを映像として見せたり、音として聴かせたり … 続きを読む
参考書籍:琉球風水 福を招く家づくり墓づくり
チヂアワセ
カミダーリの初期の段階で、さまざまな声や音が混ざり合って聞こえ苦しむとされている。もちろん、その声や音の正体はおろか、意味も全く不明だという。 ノイズのひどいラジオを長時間聴いているようなもので、その苦痛は他人では理解不能なのであろう。普通の人間だって、雑音のひどいラジオを聴くというのは苦痛以外の何ものでもない。それが長時間繰り返されるというのだから、当人にとっては拷問に等しいのだろう。 しかし、このようなことが繰り返されていくうちに、雑音の中からカミや祖先の声を聞き分けられるようになるというの … 続きを読む
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タキウクシ その1
タキウクシとは、祖先とかかわりのあったと考えられるカー(井泉)、御嶽、グスクなどの整地や拝所を、カミや祖霊の請求による「シラシ」(知らせ)に従ってウグヮンを入れることである。 ウグヮンを入れる聖地や拝所の数や場所、回る順序もそれぞれによって異なるとされている。それぞれの専用のチヂを持っているわけだから、専用のチヂに見合ったウグヮンをしなければならないとされているからだ。 万が一にも、専用のチヂに見合わないウグヮンを入れた場合や間違った手順で行った場合、あるいはシジタダシ(血筋を整える)をきちんと … 続きを読む
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ユタの悟り
自分のチヂを自覚することをユタ社会では「悟り」という。 カミダーリ状態に入った者が、ユタをともなってあちこちの拝所に御願を入れる。そして「サンミン」と称されるカミや祖霊からのメッセージがおりてくるのを待つ。その一方では、ヒヌカンの日々の拝みも欠かさず「シラシ」(知らせ)が入るのを待つ。 このように、御願を入れたり拝みをつづける中で、やがて自分のチヂの正体がおぼろげながら見えてくるようになり、いつの日かそれが生涯自分が仕えるようになる「チヂガミ」であることを悟るというわけだ。 チヂガミを悟り、重ね … 続きを読む
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シラシとサワリの発信
いろいろな理由から現世に対する未練を断ち切れず、成仏できないまま幽界にとどまっている霊は、この世にあらわれて生者に「シラシ」(知らせ)としてのサワリ(障害)をひきおこすというのがユタ世界の考え方である。 従って、シラシは成仏できない死者の霊が発信源となっており、そのシラシを生者に気づかせるためにサワリをひきおこすとされている。シラシとサワリは連動していることになる。 シラシとしてのサワリは種々の形となってあらわれてくる。 原因不明の心身の不調、たび重なる身内の病気、事故や災難などはユタ世界では成 … 続きを読む
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ユタグトゥ(ユタ稼業) 第1回目
前回シリーズでは「ユタになるまで」を31回にわたってお話した。 チヂアキの達成によって、それまで積み重ねてきた体験をもとにしてカミミチに踏み出す準備がととのい、ユタコーヤー(依頼者)の訪問をきっかけとして、いよいよユタ稼業に入っていく。それと同時にユタ修行が完結するということを述べた。 今回から、新しいシリーズとしてユタ稼業の実践をのぞき見ることにする。 ユタグトゥのことをあえて難しいことばで表現すれば「巫業」という。ユタの行なう業(仕事)のことで、手っ取り早く言えば「ユタ稼業」ということになろ … 続きを読む
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